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/彼の手記(一) 妙な事があったので書き留めておきたい。 私はもの書きの真似事で毎日の暮らしを立てており、一日中文机の前に齧り付いていることも珍しくない。 しかしこの季節の頃はどうにも暑い。原稿用紙に認めたはずのインクもなかなか乾くものではないくらいだ。 頭の回転も益々鈍ってしまって、結局汗を掻き掻き縁側に退散と相成る。 縁側は風が良く通るのだ。昼を過ぎれば良い具合に影が出来て、格好の避難場所となる。 家は草っぱらに臨んでいて、縁側からは丁度その草っぱらを一目に収められる。 今日も私は暑気に参ってしまったので、十四時を過ぎたあたりから縁側にからがら逃げて来た。 私は独り者であるので、だらしない格好でうろうろとして居ても、咎める者は居やしない。 じいじいと鳴く蝉の声を聞きながら、私はぼんやりと濃い色に染まった草っぱらを眺めていた。 あんまり暑かったものだから、私の見間違いだったのかも知れない。 何処の娘か知れないが、歳頃の娘が駆けて行ったのだ。 草っぱらを突っ切るようにして、私の視界の右から左まで、娘がだだだだだと駆けて行ったのだった。 はぁさて、どこの御転婆だ。随分脚が速いじゃないか。 そう思って娘が駆けて行った方を振り向いてみると、誰も居やしなかった。 私は暫く呆然としてしまった。 山に近いからか、狐か狸にでも化かされたのであろうか。 /彼の手記(二) 昼間書き留めたこの文章に続きを書けるとは思わなかった。 不思議を目撃した後、私は戸惑いながらも、おかしなことがあるものだ、くらいにしか考えていなかった。 そうして、夕刻を過ぎてうっすらと空が蒼くなり始めた頃、玄関に来客があった。 「もし」。家の中を渡って幾らかくぐもった声であった。はて誰かな、と思い思い私は応対に出た。 果たして、予期もしなかった、かの娘であった。 重たげな前髪であった。銅色の着物と小さな肩に乗ったあんまり黒々した髪から、娘は陰鬱そうに見えた。 「宿を貸していただきたいのです」。娘の声は更に鬱々としたものであった。 何か訳有りでろう、と私は思った。「このぼろ屋が宿場に見えるかね」。 私は投げ遣りに追い返そうとしたのだが、娘が口の端で笑んだ様な風に見えて、一時おかしく思った。 娘が何でもない様に重い前髪を掻き上げた。「盲でありますので判りません」。 私は鼻白まざるを得なかった。娘の眼を見て、醜悪だ、と思ったのだった。 娘の眼は、光を感ずるべくもなかった。潰れていたのだ。酷に醜く。 下手な刀で滅茶苦茶に突き回されたのではなかろうか、と最初に思ったのだった。 ぽそぽそと薄い眉から、真っ直ぐに白い鼻の背辺りまで、赤黒く爛れた皮膚しか見えなかった。 所々に皮膚が奇妙に引き攣っている様子もあった。 嘗て眼があったでろう場所には、さらに鮮烈な色でがたがたと傷痕が付けられていたのだった。 そうして、それらがどれくらいの年月を経た後であったのか、ばりばりと乾ききっていたのだった。 憐憫の念や同情らしきものを力任せに抑え付けてしまう程、その眼は奇態であった。 「宿場は不具者にやさしくありません」。「銭を持ちません」。「どうか」。 見るべくも無い表情で娘は平然とそこまで話した。また娘が口の端で笑んだ様な風に見えた。 「宜しいのですか」。私がはつと気付いたときには、どうやら私は娘に道を開ける様に退いていたのだった。 娘を奥の間に通した。かれは何処の誰なのであろうか。 /彼の手記(三) あの奇態な眼を間近で見ることになるであろうから、私はかれに近付くのは恐ろしい気がする。 しかしかれはその眼にあらゆる物を宿し得ない故、自然私が介助せずには居られない。 幸運であるのは、かれの重たげな前髪である。少なくとも、かれの眼を曝け出すことを防いでいる。 起床して直後、かれが居間戸の前にひっそりと座って居るのを見つけて、私は危うく声を上げそうになった。 私は厠までかれの手を引いて行った。頼り無さ気な掌であった。 腰を落ち着ける場所が判らないと言うので、私はかれを視界に収めぬようにして誘導してやった。 厠の戸を開け放ったまま用を足し終えたかれの手を引き、私は朝飯に取り掛かった。 ときどき汁物を零しながらも、かれが大凡丁寧に箸を使えることに私は少なからず驚いた。 かれが小魚の目玉だけを綺麗に刳り貫く様子は不気味でもあった。 かれの口の回りが汚れたので、私はかれの眼を視界に入れぬよう恐る恐る拭いてやった。 私が文机の前でぼそぼそと書き物をしている間、かれはじつと静かに居た。 一日の汗を流すため水を浴び、次いで頼まれ、かれの水浴を手助けした。 青白い、極端に痩せた身体であった。僅かばかりの丸みがようやく女性らしさを思わせた。 不健康そうな肌色であったが、局所ところどころに見られる紅色がどうも妖しく感じられた。 かれの手を引き奥の間まで連れて行ってやり、私は文机の前まで戻って来た。 今日は幾度と無く冷や汗を掻いた。 傷痕に占められた眼を除いては、かれにおかしそうな所は無い様である。 しかし娘にしては随分と平然で、恥じらいの気が足りない様に思える。 眼を見られぬせいか、歳の頃が正確に掴めない。もしか私が思うよりも歳若い子供であるのかも知れない。 特に、かれの独特な気配も、生まれ持っての気質のものなのか、目が見えぬからなのかも知れない。 /彼の手記(四) 昨夜幾らか外が騒がしかったので、獣の喧嘩があったのかも知れない。 朝見てみると、草っぱらに狐らしい動物が死んでいた。頭蓋が砕けていた。 獣同士の喧嘩ではない様だった。 鴉に突かれて目玉が綺麗に刳り貫かれて血を流していた。 昨日かれが魚の目玉を綺麗に穿った姿が思い浮かんだ。 明るいうちから何かが怖くなって、鴉を遮二無二追い払い私は暫し瞼を閉じていた。 今日は昨日と同じように生活を繰り返したのだった。 かれは平然であった。 /彼の手記(五) 目玉を頂きたく思います。 /彼の手記(六) 昨夜私が書き付けた後、私の知らぬ一文が挿入されている。 目玉を頂きたく思います。わたしに宛てた文であろうか。恐らくその様に思われる。 しかしかれは目が見えぬ筈である。朝飯を終えた今もじつと静かに居る。 「これは君が書き付けたのかな」。自分で判ずる前に、私は思わずかれに向かって言ってしまった。 「どれでしょう」。やはりかれは文等書き得ぬはずであった。 実際は大分外れていたが、かれはわたしが居ると思われる方を向いた。やはりかれに文など書けぬはずであった。 かれは無表情であった。 「いや」、何でもない。 「どの文でしょう」。 私は一刻も早く向き直ったのだった。何故「文」などとかれは言うのか。私は夏の気候が途端寒くなった。 かれは依然として平然であった。 果たしてかれが書き付けたのであろうか。 /彼の手記(七) 旦那様は寝相が宜しくありません。子供の様です。 なかなか上手く目玉が取れません。 /彼の手記(八) まただ。何時の間に書き付けているのであろうか。 私が就寝直前に眺めた頃にはまだ無かった二行の筈である。 かれが私の枕元であの眼を私にぐいと近付けて私の目玉を突きながらつらつらと書き付ける。 今、私はぐつと吐気を堪えた。 ここに居ては危険なのではないだろうか。 一刻も早くこの家から、いや、かれから遠ざかるべきなのではないだろうか。 此処に来てからじつとしてなかなか動きもしなかったかれが、昨夜から頻りに首を回している。 私の姿を、その潰れた眼で探しているのではないだろうか。 この家には私とかれとしか居ないはずなのに、強い視線を感じるのだ。恐ろしい。 /彼の手記(九) 旦那様は頻りに顔の汗を拭いますので、目玉を取り出しにくいです。 明日は雨が降りますから夜も幾らか涼しいでしょう。汗も掻きません。 /彼の手記(十) 雨が降っている。 私はこの二行を見た後、余りに恐ろしさが勝って、かれを置いて街へ下り友人の住まいに身を寄せている。 かれをあのぼろ屋に置いて行く事に躊躇が無かった訳ではない。しかし恐ろしかった。 友人は大いに驚いたが、訳も聞かずに居てくれる。有難い。 しかし、どういうことであろうか。 かれを家に入れたその日から数日の間、ずっとかれと共に暮らしたせいで情が出来たのであろうか。 落ち着いてみれば、気味が悪いのに違いないのだが、私はかれのことが気になって仕方が無い。 かれは一人で厠に行けず戸惑っているのではなかろうか。 手探りで歩いては転んでいるのではなかろうか。血の気の無い肌色を赤く腫らしているのではなかろうか。 涙を堪えているのではなかろうか、口だけを歪めて。 食事もままならず、私を待っているのではなかろうか。憮然ともせず、あの無表情で。 腹を空かせているのではなかろうか。やはりあの細身でも辛く思っているのではなかろうか。 今時分は、じつとして座って居る頃だろうか。 私が居ないのを少しでも落胆して、かれは何をも映さぬ眼の上で、薄い眉を下げてはいまいか。 /彼の手記(十一) もう大丈夫で(以下数十文字、歪字。判読不能) /彼の手記(十二) かれから離れたにも拘らず、新しく文章が追記されているのに私は驚いた。 しかし前の文等がはっきりと楷書体で書き付けられていたのに対して、こちらの文章は走り書きである。 最初の数文字は「もう大丈夫で」とまでなんとか読むことが出来るが、後の文字等は歪みが激しく判読がつかない。 これは一体どういうことであろうか。かれから離れたせいであろうか。 私は電車に乗っている。 やはりかれのことが気になって仕方が無い。家に戻るのだ。 /彼の手記(十三) さて、どこから書こうか。結論から書こう。 かれはもう死んでいた。私はどうやら亡霊の類と暮らしていたようだ。 私が友人宅から家に戻ると、何が起きたのか、家の中は血に染まっていた。 玄関も、廊下も、畳も、布団も、板張りの壁も、あらゆるところに血が滴っていた。 居間は天井にさえ血が噴き散っており、赤黒い血溜りが出来ていた。 私はかれを求めて家中を走り回ったが、結局かれは居なかった。代わりに血塗れの男が裏口に突っ伏して事切れていた。 警察に事情を話せば、まずは重要参考人だとの事で、暫く身柄を拘束された。 その後、友人等の証言や男の死亡時刻とのすり合わせから無罪確定とされ手荒に放免された。今に至る。 私は警察で絞られる間、何度もかれのことを尋ねた。その度に警官等は不可思議気に視線を交し合った。 どうやら死んだ男、十年程前より全国手配中であった凶悪犯らしく、かれを殺した男であった。 警察は勿論、かれと暮らしたと言う私の戯言になど耳を貸さなかった。 男の死因は恐らく野犬等獣の類に集団で襲われた、と結論付けられた。男の身体中に喰い千切られた歯形が残されたらしかった。 男がかれを殺したのは十年程前。惨殺であった。 必死で逃げ惑うかれを追い、捕まえ覆い被さり残虐な行いをしたのであろう、との事であった。 特にかれへの眼の傷害は凄まじいものだったそうだ。 私の取調べを仕切った男は、罰が当たったんじゃないか、等と言って適当に私の言葉をあしらっていた。 もう一度書こう。 かれは、もう死んでいた。私はどうやら 何故涙が止まらないのであろうか /彼の手記(十四) かれは何故私を訪ねて来たのであろうか。自らを殺めた男の影を追い縋って来たのではなかろうか。 かれは何故私を怯えさせたのであろうか。私を一刻も早く男の影から遠ざける為ではなかろうか。 私がかれのことを恐れ震えて電車に揺られているとき、かれは何を思い何を為していたのであろうか。 男の死因は獣の類に襲われた事になった。 きっと、かれは見えぬ眼に復讐の火を宿し、あの細腕で男に組付き男の咽喉を噛み潰したのであろう。 細々としたかれが、家中を逃げ惑う男を組伏せ、男を惨めったらしくなるまで千切り続ける様は、さぞかし痛快であったろう。 しかし男を打ち捨てた後、かれは泣かなかったろうか。かれの眼は、涙も流せぬ程潰れてしまったろうか。 どうして私はその時に居てやれなかったのだろうか。 どうしてであろうか。 どうして、かれの、醜悪とさえ思われた眼が、どうして、是程までに恋しくなるのであろうか。 /かれの手記 もう大丈夫です。早くお帰りください。旦那様のお宅を汚してしまい、本当に申し訳ありません。 また、見苦しい眼創をお見せして申し訳ありませんでした。 夏とは言え、涼しい夜もあります。風邪など召されませぬよう。 旦那様がお仕事をなさいますお背中はとても頼もしく思われました。 わたくしが生きていますれば、きつと旦那様と釣り合う位の歳頃であったことを思うと、口惜しくてなりません。 お仕事をなさいます時は、もう少し姿勢を良くなさいませんと眼を痛めます。お気を付けください。
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殺人者の手記 題名:殺人者の手記 上/下 原題:En Helt Annan Historia (2007) 著者:ホーカン・ネッセル Håkan Nesser 訳者:久山葉子 発行:創元推理文庫 2021.04.23 初版 価格:各¥1,040 的確かつ良い邦題、と思う。まさに本書は殺人者の手記によってスタートするからだ。(ちなみに原題は「まったく違った物語」) まず、この手記が実に手ごわい。謎めいた文章の向こう、やがて明らかになる過去の犯罪。この手記だけで終わるノワールであっても構わないように思う。ここまで文章に拘った、ある種芸術的とまで呼べる手記であるのなら。 しかしこの不気味な手記に、登場する人物たちが5年後、殺人の標的にされ、その殺害予告が次々とある刑事の自宅に届くことで、物語は立体的な複合構造を呈し始める。現在と過去。現実と手記。刑事個人と犯罪者との関係。 現実の側を司る捜査官グンナル・バルバロッティ警部補が本書の主人公。実に詳細に、綿密に、作家は彼の人物像を書き込んでいる。レトリックに満ちた幻想にすら思える薄気味の悪い手記を挿入しつつ、現実世界の証人の如く、物語を活かし、よりリアルにするために。 このバルバロッティ像がよい。彼は再婚を視野に入れた恋愛と子離れの丁度渦中にありながら、殺人予告が飛び込み、マスコミの精神的暴力に晒され、警察組織からは自宅待機を迫られるなど、次々とネガティブな環境下に置かれるが、何よりも殺害予告がバルバロッティに届けられる理由が、そもそもの謎なのである。 ブルターニュのある季節を描いた手記で始まる本書は、バルバロッティの視線で眺望した絵画のように美しいゴッドランド島での恋人とのシーンへ舞台を移す。さらに殺害予告を知った彼は捜査の中心となるシムリンゲ(架空の町らしい)へ。舞台装置の移動だけでもめくるめく動揺を誘いそうだ。 手記はさらに読者をミスリードする。バルバロッティの家族の離合集散と、新しい恋人との家族再構成に関わる現在の日々と、私生活だけでも一つのホームドラマとしての読みごたえがあるくらいなのに、そこに薄気味の悪い連続予告殺人事件やマスコミからのバッシングなど、波乱万丈なバルバロッティの周辺事情。 地方署ゆえに都市部警察署からの応援人員まで呼ばれ、なおかつ事件はスウェーデンの現在と、南仏の過去にまたがる大仕掛けなものである。そんな舞台装置に立つのが現実に存在していそうな等身大警部補バルバロッティ。周囲の個性的面々を含め、ストーリーテリングの冴えが目立つ力作と言ってよいだろう。無論リーダビリティも抜群である。 作者ホーカン・ネッセルは本国でも国際的にも名実ともに相当な実力派作家らしいのに、日本では数作しか翻訳されていない。バルバロッティ・シリーズはもちろん、ファン・フェーテレン警部補シリーズ(『終止符(ピリオド)』一作のみ)もほとんど日本語では読めない。本作を機に、この筆力とアイディアに優れた才気溢れるベテラン作家に接する機会が、一気に広がってくれると有難い。 (2021.6.12)
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Blu-ray ヴァニタスの手記 1 完全生産限定版 発売日:10月27日 これは、滅びゆく吸血鬼たちの物語。人間と吸血鬼が存在する19世紀フランス。 吸血鬼の青年ノエは、吸血鬼に呪いを振り撒くという魔導書 “ヴァニタスの書”を探しにパリへ向かっていた。途上の飛空船の中でノエはある事件に遭遇。 ノエの前に現れたのは、吸血鬼の専門医を自称する人間ヴァニタスで、 彼の手にはノエが探していた呪いの魔導書“ヴァニタスの書”があり…。 二人の出逢いにより、呪いと救いの吸血鬼譚が幕を開ける―。 ここを編集 2021年7月放送開始。プライムビデオが配信開始。続編にヴァニタスの手記 (ジェヴォーダン編)がある。 https //vanitas-anime.com 監督 板村智幸 原作 望月淳 シリーズ構成 赤尾でこ キャラクターデザイン・総作画監督 伊藤嘉之 サブキャラクターデザイン 中山知世 プロップデザイン 石橋慎平 デザイン協力 小柏奈弓、松本美乃 禍名原画 保科有沙 美術監督 金井眞悟 美術デザイン 多田周平 美術設定 綱頭瑛子 背景統括 畠山佑貴 背景進行 平田浩章 ビジュアルコンセプト・色彩設計 滝沢いづみ 撮影監督 張盈穎 3DCG監督 三宅拓馬 システム設計 猿渡真太郎 特殊効果 龍角里美、日野有里子 編集 松原理恵、白石あかね 音響監督 若林和弘 音響効果 倉橋静男、西佐知子 台詞録音 佐竹徹也 録音助手 川村紗穂 音楽 梶浦由記 アイキャッチ原画 矢﨑優子 アニメーション制作 BONES 脚本 赤尾でこ 伊神貴世 絵コンテ 板村智幸 寺東克己 平川哲生 蒲原遥 望月智充 岡村天斎 浅井義之 演出 三好なお 久保雄太郎 守田芸成 孫承希 野亦則行 笹原嘉文 千葉大輔 大西景介 作画監督 伊藤嘉之 堀川耕一 中山知世 ヤマダシンヤ 可児里未 稲留和美 稲熊一晃 阿部尚人 紺野直幸 小原佑太 鄭印善 秋山英一 松本美乃 北島勇樹 水畑健二 井元一彰 保科有沙 中山由美 石田誠也 清水和也 大貫健一 孫偉 佐野優月 安西俊之 濱中朋子 高山朋浩 畑島つばさ 浅野由佳 プライムビデオ:ヴァニタスの手記 1. Vanitas-ラスティ=ホープスの場合- 出演:花江夏樹, 石川界人, 水瀬いのり 再生時間:23 分 初公開日/初回放送日:2021/07/06 ■関連タイトル Blu-ray ヴァニタスの手記 1 完全生産限定版 梶浦由記 ヴァニタスの手記 Original Soundtrack 原作コミック ヴァニタスの手記 1 Kindleまとめ買い ヴァニタスの手記 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Blu-ray 魔女見習いをさがして Blu-ray「どうにかなる日々」Blu-ray Happy-Go-Lucky Edition 初回限定生産 Blu-rayDisc付き 『ラブライブ! スーパースター!!』「始まりは君の空」【みんなで叶える物語盤】 BEM~BECOME HUMAN~豪華版Blu-ray Blu-ray 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 10th Anniversary Compact Collection Blu-ray ぐらぶるっ! Blu-ray 映画クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者 Blu-ray CHRONO CROSS 20th Anniversary Live Tour 2019 RADICAL DREAMERS Yasunori Mitsuda Millennial Fair FINAL at NAKANO SUNPLAZA 2020 ゴブリンスレイヤー Blu-ray BOX 初回生産限定 グリザイア ファントムトリガー THE ANIMATION 03[Blu-ray] 特装版 ラブライブ! サンシャイン!! 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雑賀有の手記 藩国日誌を置いてみたので風前の灯的な手記。 #weblog
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ソリーゾの手記 アンコモン 自然 2 呪文 ■バトルゾーンにある自分のクリーチャーの枚数が相手のより多ければ、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。バトルゾーンにある自分のクリーチャーの枚数が相手と同じかそれより少なければ、自分の手札を1枚選び、マナゾーンに置く。 (F)では始めにひとつ、島の物語を説きます。エルドラードは幻の島。海と森を抜け、砂漠についた頃、どこか遠くでは怪獣の咆哮が聴こえます。王墓の下へと着いた時、ここで皆様とお別れです。――ソリーゾの手記 作者:まじまん 収録 「王金編 第4弾 記憶の果て(メモリアル・フェアリー)」 評価 名前 コメント
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手記紹介 スライムの洞窟(25) ゴブリンの住処(13) 地下墓地(7) スラム街のマフィア(6) 盗賊団のアジト(11) ラルバ遺跡(6) ダークエルフの砦(6) 火竜山(9)
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異形使いの手記 動画リンク コメント 異形使いの手記 異形使いの手記は、今日を持ちまして、打ち切りとさせていただくことに致しました。 これまで見ていてくれた方は、大変申し訳ありません…。 事情は、あえて伏せていただきます。 動画の方は、残しておくのもあれなので、全て削除させていただきました。 急な話で、大変申し訳ございません…。 コメント・レビュー 不思議な話しだ。銀髪の行方は気になるが、ミスチーとクルーエルの関係に期待 -- 名無しさん (2008-03-16 14 38 29) 名前 コメント すべてのコメントを見る ※レビューについては、こちらもご覧下さい。
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アキラの手記 アキラの手によって綴られたおはなし。 表紙には「よろこびの物語」と書かれている…。 たびだちのあさに 連載5回目 あさごはんとキッチン
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【あるマイスターの手記1】 見つけた時のことはよく覚えている。妹ができる、と。そう話していた。あの日だ。 ジャンクヤードから掘り出した隕鉄…そこに付着していた生体片。…単体では非力な原始的生命だ。 しかし、周囲の鉱物に寄生することで活動範囲を拡大させる。 【あるマイスターの手記2】 先日の実験で、驚くべき性質が判明した。環境に適用する不定形の細胞。 だが、その一方で、この細胞はエネルギーに不変的な性質を与えるようなのだ。 例えば手にしたボールを放り上げ、天井に叩きつけるとしよう… 【あるマイスターの手記3】 この時、天井はそれ自体の硬度や重力、空気の壁で守られ、衝撃が軽減される…筈だ。 しかし、この細胞の場合は違う。 エネルギーの減衰は極端に抑えられ、投擲時に得た力を大幅に保ったまま天井を突き破るのだ。 【あるマイスターの手記4】 この性質から、私はこの細胞をAC(アブソリュート・セル)と名づけた。 ACは高度な擬態能力も有している。自らを変質させて、宿主の機能を模した組織や器官を形成するのだが… この変質は物理法則を飛び越え、まさに…冒涜的な… 【あるマイスターの手記5】 宿主の肉体が欠損した時、喪失部分を補うための性質だろう。鉄、油、炭素…密度と構成を変え、何にでも擬態する。 ゼンマロイドの関節部のような複雑な形状の機械にも…。 ゼンマロイドのサーキットに寄生させたのは、ほんの悪戯心からだった。 【あるマイスターの手記6】 成功だ。ACは電気回路をエミュレートし、電子頭脳を完璧にサポートしてくれた。 反応速度は従来のシステムよりも伸びしろがあるくらいだ。 しかし、回路の一部を生体組織に置き換えたからと言って、それにどれほどの意味がある? 【あるマイスターの手記7】 私は先の可能性に手を伸ばしたい。ACが自律タイプの電子頭脳を擬態できたなら…? いや、きっとできる筈だ。今日、ACが実験用のマウスに興味を示した。 組織片を弾丸のように射出して攻撃したのだ。 【あるマイスターの手記8】 射出された組織はマウスに命中することなく、床の上で数十秒後に活動を停止した。 ACは特定の環境に置くことで、積極的な寄生行動をとるようだ。 対象を攻撃、捕獲してから自身を送り込んで融合を図る… 【あるマイスターの手記9】 宿主は全く別の存在に変質してしまう。これはもう寄生ではない。侵食だ。 複雑な構造のものほど、ACの関心を惹くようだ。 今回はその性質を利用した。…遂に成し遂げた。人工知能への擬態に成功したのだ。 【あるマイスターの手記10】 初めて感じる私の脳波を賢明に処理している。なんと愛らしいのだろう。 お前は単なる機械とは違う。生物にしかできない成長が 投光機だ! 明滅のパターン 自らを光に変質させて 移動 精神 人 の キョウミを 侵 食
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──ニックは良いやつなんだが、少し単純で短絡的になりすぎるのが玉に瑕だ。 私とは幼い頃からの付き合いで、無二の親友だと思っているが、あいつに振り回されたことも多々あったよ。 小さい頃、私が蛇に噛まれたとき、やつは消毒だとか言って、私に小便をかけたことがあったっけな。 その時の私は既に、そんなものは迷信だと分かっていたから、それはもう、逃げ惑ったよ。 それでもやつが必死の形相で追いかけてくるものだから、私も死に物狂いで逃げたんだが、 そのせいで、私は足を滑らせて谷底の川に落ちたことがあってね。なんとか一命は取り留めたものの、あれは散々だった。 まあ、根は本当に実直なやつなんだよ。 あの熱意が、悪くない方向に向いてくれるといいんだが── ──故ウーゼル・ディーン・スミス氏、酒の席にて。 * * * ウーゼルが死んでから、月日は飛ぶように流れていった。 やつの葬儀は、ごく近しい者たちだけでしめやかに行われた。 この世界は、我々のような非能力者が死に行くことなど、そう珍しいことではない。 だが、しかし、そんなことは幾らでも分かっていても、私はそれに悲憤せずにはいられない。 非能力者であろうと能力者であろうと、人命であることには、そして大事な誰かがいることには変わりないのだから。 たった一人の妻を残して世を去り行かなければならなかったあいつの無念が、痛いほどに、伝わってくる。 やつが、念願叶って魔術協会の職員になったと報告を受けたとき、私も自分のことのように喜んだものだ。 別に、今のご時世、入ろうと思えば誰だって入れるのかもしれないが、やつはそれまでひどく貧しかった。 肉体労働でその日の食い扶持を稼ぐような日々を何年も送っている傍ら、独学ながら魔術の研究と勉学に勤しみ、 それでいてようやく、聖都にまで赴くお金と、採用試験に臨む準備が整って、そして一度きりのチャンスをものにした。 子供の頃からの夢だった、魔術に携わる仕事。 あいつがどれだけの熱意を持って取り組んでいたのか、私には分かる。 ある日、ウーゼルのご夫人が、私の下に一冊の手記を、遺品として持ってきた。 私に魔術のことは分かりませんから、と言っていた。開いてみると、目が回るような研究メモの数々が書き殴られていた。 恐らくは、やつにだけ分かる法則で書き分けられているのだろうが、私には酔っ払って目を瞑りながら書いたものにしか見えなかった。 だが、ご夫人曰く、道半ばで途絶えた旦那の研究を、最後まで成就させてやりたいのだと言う。 それが旦那への何よりの手向けになるでしょうから、と。 嗚呼、やつは本当に幸せだったのだろうと思った。私は丁重にその手記を受け取った。 * * * やつはその魔導書を、『知られざる小さな鍵』と仮称していた。 手記に書かれていたメモは、ある名も無き魔導書、及びその断片らに関する記述だったのだ。 私が亡き親友に代わって、この研究を継いでいこう。そう決意したのはいいのだが、 しかし、断片の原本、そしてその研究記録は、何故か行方が途絶えているようだった。 残っているのは、この半分暗号じみた手記だけ。だが、何とかしてやらねばならない。私は使命感に燃えていた。 そして運命とは数奇なもので、私はある日、一枚の魔導書断片を手に入れた。 決意報告をしようとやつの墓参りに行ったときに、それは風に吹かれて何処からともなくやってきて、私の足に張り付いたのだ。 あまりに出来すぎたその巡り合いに、私は何かの大いなる意志に導かれているのではないかと、少しだけ怖気がした。 その魔導書断片は、私も全く見たことのない異界の言葉で書かれていた。 しかし幸いなことに、解読法のメモが遺品の手記には記されていたのだ。私はこれを頼りに、解読を進めた。 私が手に入れた魔導書断片には、ある一つの単語がしばしば登場した。 それは、『Goetia』という単語。これは最初、また別の魔導書の名前なのだと思っていたが、どうもそうではないようだった。 前後の文脈から察するに、ここにおける『Goetia』というのは、人物、或いはそれに準ずるものではないかと私は推測した。 そして、まさに今日、判明したことだが、この『Goetia』は、恐らく、ある特定一個人を指すものではない。 その根拠となったのは、魔導書の記述の中から、『何番目のGoetia』という文言を、見つけ出せたからだ。 『XXの代から数えて何番目のGoetia』と、そういった記述が、この魔導書断片には数多く見受けられる。 即ち、尤もこれは私の憶測でしかないが、『Goetia』とは、ある『名跡』だと考えられるのかもしれない。 継承を前提とした名前、襲名によって後世に渡っていく名前。それがこの『Goetia』なのではないか、と私は考える。 と、すると。もしかすると、この現代にまでも、『Goetia』は受け継がれているということもあり得るのではないだろうか。 そう考えたときに、儚い希望ではあるが、異界の魔導書がこの新世界に流れ着いていることを考えると、 『Goetia』自身も、今後この世界と関わりを持ってくる、或いは既に持っている可能性も、出てくるのではないだろうか。 そうだ。もし本当に存在していて、尚且つその人物とコンタクトを取ることが出来れば、これ以上無い研究の手掛かりになる。 万が一にも可能性があるならば、早速調べてみる価値はある。 この『Goetia』という人物が、いる、又はいた形跡はどこかに無かったかと。 そうと決めた途端、私は俄然やる気を増した。 光明が差し込んだのだ、このゼロからのスタートに。 これは思ったよりも早く、行けるかもしれない。非常に喜ばしいことだ。 ──おや。こんな時間に宅配便とは、珍しい。 何だろう、ご夫人がまた彼の遺品を送ってきたのだろうか。 うむ、恐らくそうに違いない。ならば早く出てやらねばなるまいな。 ウーゼルよ。お前の残した研究は、私が必ず、やり遂げてみせるからな。 [了]